Vol.1 代表理事 小峯さんに聞く

“自然観察指導員の声を聞くシリーズ”第1回は「NPO法人自然観察指導員埼玉」の前代表理事 小峯さんにお話を伺いました。小峯さんは「NPO法人自然観察さいたまフレンド」の副代表理事も務めています。(インタビューは代表理事をされていた時のものです)

インタビュー日:2020年7月5日

指導員埼玉の活動について教えてください。

 広く一般の方に自然観察会などを通じて、普段気が付いていない身の回りの自然を紹介し,自然環境保全の大切さを伝えることを目的として活動しています。会員数は約200名で、県内7つの地域の会が中心となり自然観察会などを行っています。指導員埼玉としても会員向け研修会や一般の方対象のエコハイクなど開催しています。

NPO法人自然観察指導員埼玉(以降、指導員埼玉)が発足した経緯を教えてください

 公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)が主催する自然観察指導員講習会を受講した者が中心となり、1986年(昭和61年)に「自然観察指導員埼玉連絡会」を立ち上げました。この連絡会がNPO法人化するために発展的解消をとげて、2006年(平成18年)に指導員埼玉が発足しました。 

 

日本自然保護協会(NACS-J)とはどういった関係なのですか?

 NACS-Jは発電ダム計画から尾瀬ヶ原を守るために1949年に結成された尾瀬保存期成同盟が前身ですが、このとき日本における自然保護の思想ができたとも言われています。指導員埼玉のような団体が全国各地で活動していて、NACS-Jと共同で自然観察指導員講習会を各地で開いています。本部・支部といったものではなく対等な関係にあります。

 

小峯さんの得意分野を教えてください

 私が自然観察指導員埼玉連絡会に入会した当初(約30年前)は植物に強い人が多かったので「少し違うことを!」と思い立ち、野鳥観察に力を入れるようになりました。

 

早起きバードウォッチング
早起きバードウォッチングでガイドを務める小峯さん

いつ頃から野鳥などの生き物や自然に興味を持ち始めたのですか?

 子供のころ春に父親の実家の秩父に墓参りに行ったとき、従弟と一緒に沢でトウキョウサンショウウオの卵を見つけたことがありました。その頃から生き物に興味を抱くようになりました。

1960年代公害が社会問題化したころ何かできないかと、人並みに問題意識をもち大学は化学科に進みました。その後自然保護に取り組みたいと思っていましたが、なかなか具体的な活動には結びつきませんでした。

自然観察指導員になったきっかけは?

 大学卒業後に高校で化学の教員になり、大学時代に登山経験があったことから山岳部の顧問になりました。登山を通じて下界とは違う広大な自然に触れ、そこに生息する動植物に関心が深まっていきました。その後NACS-Jのことを知り自然観察指導員講習会に参加しました。講師の方の話を聞くうちに“身近な自然”を通じて自然の大切さを知ることに気づかされ、まさしく“目からうろこが落ちた“という感じでした。

 

いままで活動してきて良かったことは?

 “人とのつながり”が大切だと思っています。同じ目的意識をもつ仲間と共に活動することの楽しさが活動を継続する力になり、ネットワーク(人脈)が広がることでやりがいや達成感があります。

 

今後の目標などあれば教えてください

 身近な自然を知ることの楽しさを通じて、自然保護の重要性を若い人や子供たちを含む幅広い年齢層に伝えることが大切だと感じています。最近、“持続可能な社会“がキーワードになっていますが、いま生きている世代まで持続すればよいというわけではなく、これから生まれてくる次の世代、更に先の世代まで豊かな自然と共存できなければなりません。若い皆さんは私とは違う視点をお持ちだと思いますので、新しい感覚を持ち込んで頂けたら嬉しいです

どこの自然保護団体でも会員の平均年齢が高くなっているのが共通の悩みです。私たちの活動を次の世代に上手くバトンを繋ぐことが私の大きな目標の一つです。

 

最後に自然観察指導員に興味をもつ皆さんにメッセージをお願いします

  山に行かなければ豊かな自然に触れることができないという思い込みがありましたが、自然観察を通じて身の周りにも大切な場所がたくさんあることに気づきました。皆さんもお住まいの近くにある雑木林、河川、緑地公園などをのぞいてください。一歩足を踏み入れると“良いところ”がたくさん見つかるはずです。そこに生息する動植物を通じて自然に対して興味を持って頂けたらと思います。